うつ病ではなくなったようです。
こんにちは、U2plus編集長の東藤です。
私、(主にアメリカ基準では)うつ病ではなくなったようです。
「精神疾患診断の標準化問題」に関する議論を皆でしていたときに、うつ病の国際基準を満たさなくなっていることに気がつき、驚きと共に奇妙な感覚を覚えました。
とはいえ今も薬はがっつり飲んでますし、体調の波の変化のうち、調子のいいときには健康レベル、という程度のことですが。
「これまでも元気だったのでは?」という方もいらっしゃるかと思いますが、事業譲渡を終えた後も、2015年にグロービス経営大学院に行っていたときは、体調が悪すぎてリタイヤしようかと悩みました。
うつ病になってからは、あまりに自分の失ったものの多さと、大切な周囲の人たちもまた病気になっていく状況に愕然としたものです。
「少しでもうつ病にお返しをしよう」と思って立ち上げた、認知行動療法SNSのU2plusですが、かえって多くの方に多大なサポートを求めることになっていまいました。
おかげさまで現在はユーザー数1万3千人以上、サイト滞在時間は8分越えと、局所的には、必要とされるサービスになったかと思います。
うつ病はあまりに巨大な問題で、1人の患者である私にできること等まるでないのですが、それでも「裾くらいは掴んで倒れよう」という当初の想いは、ほんの少し、通じたのかもしれません。大きな山には到達できませんでしたが、丘くらいは登れました。
シリアスな状況を抱えつつよくやった方かな、と旅も終わりが見えてきた今、思います。
これからは投薬治療の終了を目指していきます。再発したり回復したりを繰り返すかもしれませんが、「うつ病当事者」という姿は人生の一部でしかありません。
もう一度社会に新しい価値を提供できるようにがんばりたいと思っております。結局またみなさんのお力を借りることになるかもしれませんが、今生で知り合ったご縁ということで勘弁願います。
うつ病の光トポグラフィー体験記【寄稿】
U2plusユーザーのななこさんから、光トポグラフィーの体験記を寄稿していただきました。NHKスペシャルなどで話題の光トポグラフィー。果たしてどんなものなのでしょうか。
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札幌の「しもでメンタルクリニック」さんで受けて来ました。
「しもでメンタルクリニック」さんのサイトにも動画ありますがWindowsメディアプレイヤーをインストールしないといけませぬ。。
頭にかぶせられる帽子は予想を反して、軽いです!全く苦痛ナシ。
エコー検査の機械みたいなやつに繋がってます。
何もないテーブルにパソコン画面一台のところに座らされ、まず検査の流れを見せられて、一度練習。
「あ、い、う、え、お」を反復し、そのあと五十音の中の言葉がランダムに出て来るので思いつくままに声に出していきます。3種類ぐらいかなー。
それから最後に「あ、い、う、え、お」を終了の合図があるまで繰り返し。
言葉が、出てこない。。
知ってるはずなのに(/ _ ; )
赤が考え始めた脳。。
色、薄っ!
こんなのが貰えます。
この赤い線が、言葉を考え始めた時にぱたっと下がってるのが、うつの典型的パターンらしいです。
統合失調症はバラバラ、双極性障害は上がっていく?って言ってたかな?
とにかく、このふたつは否定でした。
私は、母親が統合失調症の診断ついていたので自分も本当は…という不安があったので。ムダにテンション高いから(笑)
そのテンションの高さが、実は双極性の躁状態だったら自分はこの先、好きなアーティストのライブではじけることすら躊躇する…と考えていたのです。大袈裟だけど。
だから、受けて良かったです。
グラフの画像の右下のCH18が高いのは左側頭葉らしいんだけど、これは高い社会性を保ち、周囲ともうまくやっていける反応だと言っていました。
この言葉で、なんとか明日からもイケるかな?と。。
いい病院でした。
もう少し状態が良くなってきたらまた受けてみたいです。
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許可をいただいて実際の画像も公開させていただきました。
自分の病名が確定するのは、なんともいえない安心感がありますよね。
貴重なご経験を共有していただいた、ななこさん、ありがとうございました。
うつ病の当事者会を名古屋で開催してきました。初の関西!
参加者は大阪や北海道(!)から来るという期待のされっぷり。ありがたい話でです。
U2plus立ち上げ時点から応援してくださっているユーザーさんと初めて会えたりと、嬉しいことも。
アンケート結果も良好、ということでまた地方開催できればなーと思っています。
うつ当事者主体でのイベント開催は継続的に行うのは、結構むずかしいんですよね。
・主催者側の体調が不安定
・場所の確保が不安定
・治らない病気ではないため、コミットが難しい
などの課題があったりするわけです。
U2plusの母体となってくれたWINGLEでは全国に施設がありますし、きちんとした研修を受けたスタッフもいるので、とても当事者会を開催しやすい状況にあります。
うつ病になると、外部とのコミュニケーションが途絶えてしまいがちなので、社会に参加するさいしょの一歩として当事者会が担える役割は大きいのではないでしょうか。
地域の精神保健センターや、カウンセリング、自立支援や手帳、就労支援など、さまざまな社会資源があることを知る場にもなるといいですね。現状はウィングルの就労支援のご紹介のみなので、もう少し情報を充実させたいところ。
そう言えば、うつの当事者会ということで、色々とルールも設けています。
・事前にアンケートでとった、話したいことをもとにテーブル分け
・20分ごとに席替えをしてトーク
・各テーブルには、スタッフがファシリテーション
・話したくない人は、話さなくてOK
・考えを否定するようなことはNG
など。このあたりは会を重ねる毎に改善していきたいと思っています。
統合失調症に比べると、うつへの地域の取り組みはまだまだだと感じています。
U2plusを通じて、全国で継続的な当事者会を立ち上げることができればいいなあ。
うつ病家族教室をやったのでそのスライドを公開
先週行った、うつ家族教室のスライドです。機材トラブルによって、本番はスライドなしのプレゼンとなりました..もったいないので公開します。去年使用したスライドからのマイナーチェンジとなっております。
家族教室、みなさんそれぞれの悩みを抱えていらして、援助職ではない一介の患者としては、とても難しいのですが、お呼びがかかればまたやりたいと思っています。
うつ病でお休みしている人は、「5%の改善」を意識するといいかもしれない
こんにちは、東藤です。
久しぶりにうつ病の回復について書いてみます。今回は、うつでしっかりお休み中の人が対象です。寝込んではいないけど、まだうつ回復に向けての具体的なアクションには取り組む気力と体力がない方。
うつで陥りがちな考え方はこんなものがあるのではないでしょうか。
「今は苦しい。そしてこの毎日の延長線上に幸せがないのではないか」
一言で言うと絶望感、です。現状もさることながら、これから人生がよくなっていくイメージが湧かないことがつらい。
日々の小さなことに喜びを見いだしたり、未来は想像しているよりもなんとかなる、と思えたりすると、苦しみは減っていくのでしょう。
とはいえ、「なんとかなる」と思えないのがうつ病のつらいところです。もちろん回復はするのですが、それが薄皮を剥ぐようにゆっくりとした過程だったり、一時的に体調が後退したりするので、なかなか実感することが難しい。
でも、きっと回復するときは来るんです。その時を少しでも早めるために「毎日の生活を、5%だけよくできるような活動はないか?」と自分に問いかけてみることが有効かな、と感じています。これが「20%よくする活動」だと、ちょっと勇気と体力が必要ですし、仮にうまくいかなかったときに、回復意欲が減退することも考えられます。もういいや、知らない。といったように。
「5%」なら「ちょっと試みてもいいかな」と思えますし、だめでもそれほどがっかりはしないでしょう。具体的な活動を考えてみます。
- 5分早く寝るようにする
- 5分早く起きるようにする
- 5分だけ散歩することにする
- 5分間だけストレッチする
- 5分間だけ掃除をする
- 5分だけ、心理療法のワークブックを読んでみる
などなど。これならできそうな気がしませんか?
あれ?「5%」じゃなくて「5分」になってしまいました。でもまあ、こんなイメージです。
今うつでお休みしている人も、いつか身体やこころの症状が落ちつき、「これからの自分は、なんとかなるかもしれない」と思える日が来るのだと思うのです。
ほんの小さな日々の積み重ねの中で、少しでも自信や、前に向かっている感覚を得ることで、その時がくるまでサバイブできるのではないでしょうか。