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"うつっぽ"の本来の目的、欠点、改善について

うつっぽtop画像 リリース後から様々な賛否両論が寄せられている、U2plusとlivertyの共同プロジェクト"うつっぽ"についての説明をさせていただきます。前提として課題の多いサービスという認識でいることをお伝えします。そのうえで、「本来の目的」「失敗の原因」「今後の改善」について説明いたします。 うつっぽの本来の目的 うつっぽプロジェクトモデル当初の画像

 

プロジェクトのゴールとしては、「年間で3万人、この10年で30万人もの自殺者がでている現状に対してできることをしよう」というものでした。

 

上記の画像が最初に描いていたプロジェクトのおおまかなモデルです。

 

自殺対策強化月間に行われたAKB起用のCMや、ティッシュ配布などの行政施策についての強い違和感が企画のスタートでした。また自殺を水際で止めようと過酷な活動をしている民間団体の方に話を聞き、「下流ではなく、上流で予防施策を打つことが長期的には社会コストが低くなるのではないか」というモデルをベースに仮説をたてました。

 

具体的には以下のサービスデザインです。

・「自分ではなく、周囲の人たちのメンタルヘルスの予兆に気がついてもらう」

・対面での相談ではなく、メールを送るだけであれば心理的な障壁がさがり、より多くの人にメンタルヘルスのチェックを受けてもらえる

 

"うつっぽ"に対して、賛同してくれている方々は、プロジェクトのここまでの部分に対して評価してくれたのだと考えています。

 

うつっぽの失策

しかし、結果としては多くの方から批判を受け、またその内容は自分たちも納得のいくものでした。 このような結果を招いた最大の原因は、仮説検証を経ずにサービスを公開したことだと認識しています。

 

今までU2plusで開発したサービス、例えば「うつの予防と回復をサポート, みんなで行う認知行動療法 | U2plus」では、クローズドのベータ版を3回、それぞれ1〜2ヶ月強行っています。徐々に人数を増やし、運営やユーザーの声を反映させるという作業を慎重に行ってきました。

 

最近公開した「うつペディア」もプロトタイプの時点で有志に参加していただき、ルール作りや書き込みの内容の検証を行ってからの公開をしています。

 

ではなぜ”うつっぽ”で仮説検証がすっぽり抜けていたかと言えば、U2plus代表である東藤がlivertyの開発スピードに驚嘆し、勝手に「呑まれた」状態となったことだと思います。

 

この点、ある医療系WEBサービス会社の経営者としては、ありえないほど浅はかであるという評価を甘んじて受けたいと思います。今後つくりだすサービスでは必ず仮説検証を繰り返し、自信を持って世に問えるものしか公開しないことを肝に銘じます。

 

数名の医療専門職の方にヒアリングした程度では全く充分ではありませんでした。

 

公開を急いだ結果として、”うつっぽ”は格好のスパムメールツールと化し、多くの方に大変ご迷惑をおかけいたしました。誠に申し訳ございません。

 

メンタルヘルスに問題を抱えている方からは、具体的に「睡眠障害を抱えているのに、ようやく寝付けたタイミングでうつっぽメールが届いて目が覚めてしまった」という内容を拝見しました。わたし自身も睡眠障害を持つ身として、そのつらさ、苛立ちはよく理解できます。心から申し訳なく思っています。

 

またメールの件名や本文についても「うつ通知」から始めるなど、強い表現を使ったことで不快な思いをされた方も多いかと思います。こちらは柔らかな表現に変更いたしましたが、さらに改善をすすめていきます。 またいわゆる炎上状態となってからの対応にも問題がありました。Twitterやfacebookなどの個別の返信に多くの時間を割いてしまいました。

 

いただいた問題点は整理していたのですが、致命的な誤解があるとつい返信をしてしまい、サービスとして公式なアナウンス、改善内容の発表が遅れてしまいました。 さらにサービスの一時停止も議題に入れたliverty側との話し合いのタイミングも遅れることとなりました。

 

これからの改善内容について うつっぽプロジェクトモデル改善後画像

 

当初の目的やコンセプトに変更はありませんが、大きな改善点としては以下となります。

 

・手軽なセルフチェックツールとして使用した後、周囲になんらかの予兆がある人がいたらメールを送ってもらう

 

・匿名制の排除

匿名制については、「介入するーしない」の間を埋めるために必要なシステムではないかと仮定していましたが、公開後、明らかに「送信側の気軽さと受信側のネガティブポイントのバランスが悪すぎる」ことが明確になりました。

 

仮説検証を行っていればすぐに発覚する点だっただけに、大変情けない思いです。 facebook認証を取り入れることで送信者の実名をだし、メールの対象を「知り合い」に限定し(6/5訂正)ます。送信者側の心理コストをあげ、受信者側の心理コストを下げること、メール送信後にコミュニケーションをとることが可能になります。

 

facebookアカウントを持っていない方には、直接メーラーを立ち上げてもらうことを検討しています。普通の方がメンタルヘルスの相談を行うことは非常に消耗するーというのが当初の認識でした。しかし、現在facebook上で何人もの相談を受けているのですが、対面ではなくメール形式であれば非同期であるため、対応時間をこちら側で制限でき、それほど消耗することもない、という自分の気づきもありました。

 

現在"うつっぽ"でおこなっている改善リストとその進捗状況をGoogleドキュメント上でだれでも見れるようにしました。

 

livertyチームと共に、急ぎ改善を進めています。受信側のショックを和らげる、サイトとしての基本的な不備など様々な点が挙げられています。随時進捗の更新を行っていくので、興味のある方はご覧ください。

 

メール送信を検討する方への注意点(送信する/しないの判断基準)や、サイトの目的、TOPからすぐに測定ページへの遷移、メールテキストの変更などはすでに完了しています。

 

うつっぽ修正リスト@Googleドキュメント

 

メール、facebook、Twitter、ブログなどからいただいた様々な意見を参考にさせていただいています。情報量の多さのため、直接ご連絡できなかったかたには申し訳ないです。その他にも、「もっとこうすると使いやすいサービスになる」というご意見がありましたら、下記フォームよりご提案いただけるとうれしく思います。 6/4追記:修正リストにも挙がっていますが、「うつ」から始めるサービス名称に違和感を覚えた方が多かったため、サービス名の変更も検討しています。 6/8追記: 私信での発言について多くの方に誤解されているようですので、説明させていただきます。 前提として「うつ病の人は一定の割合で自殺してしまう」という事実があります。これは友人間で相談に乗っていても、家族でケアしていても、もちろんWEBサービスであっても同様です。

 

「うつの方になんらかの形で関わる以上、自殺者がでてしまう可能性は認識しているし、個人としての覚悟がある」ということです。また文脈からは書き手のせいで読み取れないかもと思うのですが、この発言はU2plus全体に関してのものでした。

 

何人かを救うために、何人かに死を与えてもいいという考えからでた発言ではありません。とはいえ「売り言葉に買い言葉」的な感情的な発言であったのも事実です。不快に思われた方にお詫び申し上げます。

 

追) "うつっぽ"への批判や改善点を指摘しながらも、わたしの体調を気遣ってくれた方々に、不甲斐ない思いと共に心から感謝申し上げます。

 

参考リンク: ・togetterNaverまとめ