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「うつ」とよりそう仕事術ブックレビュー

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以前から愛読させてもらっている、酒井さんのブログ連載が書籍になりました。 うつになった人が、どうやってうまいこと仕事を続けていけるのかというコツが42個紹介されています。 最近体調を崩し気味・・・という書評するにはちょうどいい(?)状態の東藤がレビューさせていただきます。 本のテーマ うつ病を患い、回復期になったあとに、もっとも不安なのは「職場に戻ってor転職して、うまく仕事ができるんだろうか」ということでしょう。 うつ病の本といえば、精神科医やカウンセラーがかかれたものが大半で、当事者の体験記も「生活や人間関係」にフォーカスしたものが多いです。 またうつ病をカミングアウトされている方の多くは、芸能人やフリーランサーなどが大半のため、会社員のかたに役立つ「実践的な」情報は少ないのではないでしょうか。 たとえば休職したあとで職場に復帰すると、脳がオーバーヒートして「おそろしい眠気」がやってくる人が多いですが、それに触れた書籍は見たことがないです。 「うつ」とよりそう仕事術は、うつを持つ会社員が、いかに社内で負担なく働けるかー成果をあげつつ再発を防ぐーにフォーカスした今のところ唯一の本ではないかと思います。なので、復職/転職に不安を抱えている人は、みな買ったらいいんじゃないかなと思いますよ。 極私的、いま刺さっているポイント集 [38]「あの日からの成長を信じよう」 近頃ぼくは体調悪化にともない、仕事のペースがダウンしているため、自己評価が下がり気味なのであります。「スタートアップをやってる人間が、ハードワークできなくてどうするよ」「今は絶好の加速するタイミング」「こんな事もできないのか」という内なる声が聞こえてきたり。うつ特有の「できない、ダメなところを探し出す」という思考パターンですね。 しかし、うつ病まっさかりの時と比べると、奇跡のように回復した自分がいるのも事実です。あの頃はまともに会話できず、文字が読めず、なぜか涙が溢れ、必死の形相で病院に向かい・・・ いまはどれも問題になっていません。それどころか、うつになる前に会社員をやっていたときよりも色々なことができるようになっています。人前でプレゼンしたり、ファイナンスの知識をつけたり、資金調達したり。こんな大きなこと以外でも、「電話で話せる」「電車に乗れる」とか小さいことはもっとたくさん。 回復にともなって自分への期待値はあがりつづけますが、比較対象を「他のひと」ではなく「過去のじぶん」とすると、心が楽になりますね。認知行動療法っぽいコツだと思います。 [24]気分の波にのまれる前に「大逃げ」をうつ これ大事!うつ病になると未来の(といっても1週間後とか)体調がどうなっているのか、予測するのが難しいです。なので仕事の段取りを「締め切りから逆算して無理のない範囲で」という通常のやりかただと、体調悪化の際に対応できなくなるわけです。 なので、体調がいいタイミングで、ガツガツ前倒しでやってしまいましょう。もちろん残業ばかりになると反動がくるので、無理の無い範囲で。ぼくは仕事とプライベートの境目があんまりないのでちょっと難しいですけど。 これは普通の会社員の方にもおすすめのやり方です。 スタートダッシュすると、課題が早期に明確化されますし、ブラッシュアップの回数も増えるので完成度が高くなるかと。 [caption id="attachment_732" align="aligncenter" width="400" caption="Software is Beautifulより転載"]完成率の比較画像[/caption] 参考: Software is Beautiful 第2回 「締め切りは絶対に守るもの」と考えると世界が変わる [11]ベッドから浴室までの5メートルを乗り越える 会社に勤めていると、出社するのがまず乗り越えるべき最初のタスク。しかしうつ病はとにかく午前中がつらいのです。それでも会社に行かなきゃなにも始まらない・・・ということで酒井さんが実践されているのは以下(抄訳)。

【寝る前にすること】 ・翌日着る下着類を洗面所にだしておく ・翌日着るスーツ、ワイシャツ、ネクタイ、靴下をだしておく ・ハンカチ、鍵、サイフはジャケットにいれておく ・翌日持っていく物は、カバンの中にいれておく ・翌日履く靴をそろえておく 【朝すること】 ・目覚めたら何があろうと最優先でシャワーを浴びる ・朝食をたったまま食べる

すごい! ぼくは外出がとても億劫になのです。予定が大学の同窓会とか楽しいものであっても、なかなか玄関の扉を開けられない。でも朝シャワーは直行は無理・・・なので酒井さんのTIPSをアレンジしています。

【やること】 ・夜シャワーを浴びた時に髭も剃って、朝やることを減らす ・というか夜がんばってシャワーを浴びる(実はうつになってから水が苦手・・・) ・仕事用のバッグとプライベートのバックを完全にわける。(もう中身を固定) ・コートを着てからコーヒーを飲んだりトイレに行ったりする。(やる気がでた瞬間にすぐ玄関をでるため)

おまけ 実は酒井さんには、U2plus設立以前に「こんなこと考えているんですが、どうでしょう」とメールしたことがあるんです。貴重なうつ病GTDブログを以前から愛読していたのです。その後、「以前メールした東藤です。起業しました」と報告したら大変驚いてくれました。 U2plusのサービスをつくってからは、ブログ上でインタビュー記事も書いていただきました。ご縁のあったかたが書籍を出版されたということはとてもめでたく思います。 また、うつ病を抱えた上での「実際的に役に立つ細かいTIPS」はまだあまり共有されていないと思います。闘病中の現役サラリーマンである酒井さんの試みにひとりのうつ社会人として感謝いたします。ぼくもなにか役立てるように色々していきますね!