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NHKスペシャル「職場を襲う "新型うつ"」のディレクターさんに送った感想メール

 タイミングが遅いですが、こんな内容のメールを送りました。

なお、そのディレクターさんは制作初期に関わっただけで、担当者という訳ではありません。とはいえ、Twitterで呟くだけではなく現場周辺の方に意見を伝えることが大切だと思うので、感想をお伝えしてみました。 こちらの番組についてです。

NHKスペシャル「職場を襲う "新型うつ"」

 

==さま

いささか失礼なご連絡にも関わらず、お忙しい中丁寧にご返信いただきまして、ありがとうございます。 かなり遅れてしまいましたが、番組の感想をお伝えしますね。

 

企業の視点、当事者の視点をそれぞれ描いた上で、識者が社会全体の問題を語り、ドラマに集約していくという意図の構成であったかと思います。私が以前お送りしたメール以上に、強く問題意識を感じる形式でした。その点、早合点をしたことを謝りたいと思います。 申し訳ありません。

 

ただ、描かれている内容としては、うつ病患者と新型うつの方、双方につらい内容になってしまったのではないかと感じました。

 

ひとつめは、当事者パート・ドラマパート共に「新型うつの症状で苦しんでいる描写」が一切ないためです。

ナレーションなどで「職場では従来のうつ病と同じ」と伝えられていますが、画としては「とても他責的」「休職中に自由に遊ぶ」「未成熟」のみなので、視聴している一般の方々の印象に、新型うつの方のつらさが伝わる可能性が最初からないのではないでしょうか。

 

ふたつめは、企業パートでうつ病と新型うつの違いが曖昧なシーンを採用されていることです。

「本人に電話で連絡したいが、家族がでる」「本人と話をしようとすると、家族もでてくる」というのを企業視点での「新型うつ特有の未熟さ」のように語られていましたが、通常のうつ病も体調が回復していないときは「他人の話を聞くことも苦手」で「自分の考えを述べることはもっと恐ろしい」ように感じるものです。

 

「ツレがうつになりまして」では、うつのツレさんが、電話にでること自体ができない症状と同時に、宅配便の電話にでられたことに感激するシーンがあります。心療内科への通院でも家族同席というのは、推奨されることがあります。

 

「復職の意欲がわからない」「生活リズムが崩れているのでこちらで調整しないと」なども、従来型うつ病の様子と変わりません。不眠や過眠で私も悩んでいる最中です。

 

また「飲み会に行く」「料理をブログにUPする」というのも、休職期間が始まった直後なら問題ですが、復職へ向けて社会復帰をしようとしている最後の段階であれば、むしろ望ましい回復に向けた行為です。料理や飲み会がフルタイムの仕事より体力的に厳しくないためです。(マラソン大会はさすがになんじゃそりゃと思いました(笑))

 

みっつめは、座談会パートで「では新型うつに、現時点でどのような回復の可能性があるか」ではなく、「現代社会の課題」にフォーカスされていたことです。

斉藤環先生が「人薬」「しかしだれもが得られるわけではない」と重要な言葉を発していましたが、それ以上に症状への知識を持たない識者による空気を読む読まない、教育論、自分で成し遂げる経験などに関する話題のボリュームが圧倒的なので、視聴している新型うつの当事者、または企業含め周囲の方々に対して有益な視座を提供していないようにわたしは感じます。

 

以下は勝手な深読みと提言です。

しっかりと番組を観ると、今回の新型うつ特集で取り上げられた当事者の方々は、「現代社会の世代論やコミュニケーション」ではなく、過重労働が原因となっているように受け取りました。

以下具体的な内容です。

 

ドラマパート:

企業内で人がいなくても、1人もサポートはできない。飲みに行く時間はない=社内で23時以降までの残業が常習化していると読み取れます。

 

女性当事者:

セブンイレブンのようなイラストが挿入されていました。セブンイレブンでは友人が働いていましたが、36時間労働(もっとかも)や連休がないこと、上司の半分がスパルタ系、ノルマ達成のための商品自費購入が当たり前、などの環境ということです。友人も声がでなくなった後に辞めていました。「挨拶をめぐる些細なトラブル」が「最後の一押し」になった可能性はないでしょうか。

 

IT企業で働く回復している方:

半導体開発のプレッシャー=従来型うつ病と同様の原因です。開発部門であれば、過労も絡んでいるのではないでしょうか。

 

スタジオでの座談会では斉藤環先生以外うつ病、新型うつに対しての知識はなく、個々の視点からの現代社会の課題点を述べていましたが(本当はしっかりと知識をつけた上で全国に言論を発してほしいと思いますが。特に江川氏にはちょっと憤慨しました。ジャーナリストなのに調べないで仕事している・・・)、ここに労働経済を専門とする方が入ると「現代社会の課題」に若年層の過重労働の視点が加わり、より充実した内容になったのではないかと感じます。

 

相変わらずうつ病のままでフラフラしていますが、なんとかやっております。 ==さんもこちらの仲間入りしないよう、ご自愛くださいませ。

 

追) ぼくは「新型うつ」ではなく「非定型うつ病の中でこのような症例がある」という表現くらいがいいと思っています。そもそも病気と認定されていないので、本当は「うつ」という言葉自体使わない方がいいと思います。 あと新人研修で「心を鍛えるため」自衛隊に入隊させている企業が紹介されていましたが、自衛隊はうつ病による自殺率の高さで有名な組織なので止めた方がいいと思います。

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