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生き方としてのスタートアップ

※文中希死念慮に触れています。心身が低調な方はご注意ください。

家族・支援者のための うつ・自殺予防マニュアル 家族・支援者のための うつ・自殺予防マニュアル 下園 壮太 河出書房新社 2006-01-21 売り上げランキング : 19057 Amazonで詳しく見る by G-Tools
自衛隊で「心理幹部」として数多くのカウンセリングを経験された下園 壮太さんの本です。
うつ病となった人の心理をここまで精確に記した本はないと思います。
 
曰く、うつ状態ではあらゆる活動に対して通常の27倍もの疲労を感じる。
ある程度回復したときには、損なった自信を回復させたいために性急な活動を行ってしまい、却って病状を長期化させる。等。
 
この本の一節に、うつ病を3年間患っている息子の身を案ずる両親の話があります。彼は両親に黙って地方のベンチャー企業への就職を決めてしまったとのこと。
 
他の状況であれば、「勝手に決めてしまって」「家事は大丈夫なのか」「健康面で問題はないのか」というある種微笑ましい心配になるのですが、うつ病が関わっていた場合には、さらに「息子が何かのきっかけで自殺してしまうのではないか」という畏れが加わります。
 
この両親に対して、著者はこのように回答します。
 
「自殺の確率を限りなく低くして、社会から離れて生きていくのか。自殺の危険はあるが、社会に出て行くのか。これは生き方の問題です。ー神様を信じましょう」
 
希死念慮はうつ病の人が「死にたい」或いは「死のう」と思ってしまうことを言います。自殺者の多くはうつ病となっている、と言われるのはこの希死念慮の事を指しているのだと思います。僕にも町田のモスバーガーで、どうやって死ぬかをひたすら思案していた夜がありました。
 
現在は希死念慮に襲われることはないのですが、新しいサービスをリリースし継続していくという大きなストレスに身を晒す以上、自殺の危険はあるでしょう。
 
うつ病になってなお、平穏で幸せな生活を送るという素晴らしく、多くの方々が選ぶ戦い方もあります。
それでも僕は自分や身近な人、あちこちで出会う多くの人たちを苦しめ続けるうつ病に対して「お返し」をせずにいることはできません。これもまた愚かであれひとつの生き方です。
 
自分に任じた仕事を全うできますように。
最後の睡りが自殺によってもたらされませんように。
自分を鼓舞し、運命に祈りながら進めていきたいと思っています。