どうしてNPOではなくて、スタートアップなのか。
これは単純で、その方がユーザーにいいサービスを提供できると思ったから。そして、そのカルチャーが自分に合ってると思ったから。
ビジネスを行うのであれば、ユーザーのニーズに合うサービスを提供しないと、潰れる。
他のサービスよりいいものを提供しなければ、潰れる。
自然と日々ブラッシュアップする義務が生まれるわけです。
でもNPOだと、意志があれば続けることが出来る。
もちろんそれはそれでとても意義のあることです。
たとえばボランティアのグループアットホームの活動内容をきくと、それだけで感動的なものがあるわけです。(10年近くも続けてこられたとか。。。)
この二つのモデルのベースとして考えられるあろう考え方を、ジェイン・ジェイコブズが提示しています。
市場の倫理 統治の倫理 (日経ビジネス人文庫) ジェイン ジェイコブズ Jane Jacobs 日本経済新聞社 2003-06 売り上げランキング : 147935 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
曰く、世の中には市場の倫理と統治の倫理がある。
それぞれ相反する倫理観であって、混同しないほうがいいよ、というもの。
具体的には・・・
市場の倫理暴力を閉め出せ自発的に合意せよ他人や外国人とも気安く協力せよ競争せよ契約尊重創意工夫の発揮新規・発明を取り入れよ効率を高めよ快適と便利さの向上目的のために異説を唱えよ生産的目的に投資せよ勤勉なれ節倹たれ楽観せよ
統治の倫理取引を避けよ勇敢であれ規律遵守伝統堅持位階尊重忠実たれ復讐せよ目的のためには欺け余暇を豊かに使え見栄を張れ気前よく施せ排他的であれ剛毅たれ運命甘受名誉を尊べ
ちょっと長くなってしまいました。
市場の倫理はまさにスタートアップにぴったりとあてはまります。
イノベーション。節約。協業。ポジティブ。
統治の倫理は、NPOというより、医療で考えた方がわかりやすいかもしれません。
これは統治の倫理が悪い、というわけでは決してないのです。
たとえば「取引を避けよ」とありますが、医療があまりにビジネスライクになってしまっては我々患者は困ります。
気前よく施せ、というのも診療報酬を考えれば、とても大事な価値観です。
ジェイコブズは著書をこう締めくくります。
「道徳的には相反する取引と占取が相互に支え合うこと、そのことが両者の活動とその派生的な行動をコントロールする。そこで、文明についての有用な定義が得られる。すなわち、統治と商業との共生を何とか達成できれば、それが文明というものだ。」
医療的な商業サービスというのは、倫理的にも、法律的にも、ビジネス的にも難しい。
それでもスタートアップだからこそ提供できる価値があると信じて、やってみようと思います。