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ゲスト寄稿:うつ病で障害年金をもらうには 〜申請における心得〜

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うつ病になった時に思い当たるセーフティネットとしては、傷病手当と失業保険くらいしかない人が大半ではないでしょうか。 橋本さん(仮名)が、ブログで「うつ病の障害年金」について詳しく書かれていたので、ゲスト寄稿という形で転載を許可してくれました。まだまだ知らない人が多い制度だと思いますので、ぜひ参考になさってください。内容の一部は許可をいただいたので、うつペディアにも記載予定です。

うつ病と診断され治療中ですが、前職を退職し、現在収入がありません。貯金もなくなりかけていて、生活費を工面するためにバイトをしても、すぐに体調を崩してしまい、働くことが現段階で困難です。しかし通院費や生活費は必要です。どうしたら良いでしょうか? この方のようにうつ病を発病し働くことができなくなって、家計のやり繰りに困っているという人は多いと思います。

 

私は傷病手当金の給付は受けませんでしたので、最初は失業保険と自分の貯金でやり繰りしていましたが、失業保険も終わり、貯金がゼロになってからは、母の貯金だけが家計の支えでした。でも、もうその母の貯金も無くなってしまうという先が見えたとき、私は自殺を決意しました。「このお金がなくなったら死のう」本気でそう考えていました。(生活保護を受けようとは思いませんでした)

 

そんなときに知ったのが、障害年金でした。 障害年金制度というものがあることは、掛かりつけの精神科医では、医師もソーシャルワーカーも教えてはくれませんでした。教えてくれたのは、ハローワークでカウンセリングを受けていた精神保健福祉士さんからでした。

誰が対象ですか?

統合失調症、統合失調症型障害、妄想型障害、躁うつ病(感情・気分障害)、てんかん、症状性を含む気質性精神障害などの疾患がある人。初診日の属する月の前々月までに保険料の納付期間が3分の2以上あること(特例として初診日が平成28年4月1日より前の場合、初診日の属する月の前々月までの過去1年間に保険料滞納月がないこと)が保険料納付要件です。

いつ手続きを?

初診のときと、その1年6か月後に、症状の改善が見られず、障害程度が一定の重さである場合に申請できます。初診の診科は精神疾患であることが確認できれば精神科でなくともかまいません。また1年6か月が経過した後も、障害の程度が重くなったときに申請できます。

何を支援してくれますか?

障害基礎年金(国民年金からの支給)は、1級は月額82,175円、2級の場合月額65,741円です(2010年度の額)。厚生年金や共済年金は障害基礎年金(国民年金からの支給)に上乗せする形で支給されますが、保険料の納付期間によって金額が異なりますし、3級や障害手当金もあります。 障害年金について、ポイントを上記に書きましたが、より詳しいことについては、下記サイトを参照ください

障害年金の制度をご存じですか?(政府公報オンライン)

日本年金機構

 

障害年金というものがあることを知り、障害年金が申請できると知り、主治医に相談をすると、「あなたの状態では年金はもらえないだろう」あるいは「診断書は書けない」と言われたというケースを大変多く聞きます。実は私もそうだったんです。この問題を考えてみたいと思います。

 

※障害年金は福祉制度ではない (以下、「こころの元気+」2011年7月号の「わかりやすい障害年金入門」社会保険労務士・井坂武史氏の連載より引用します)

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福祉制度はおもに税金で運用されていますが、障害年金は、保険方式で運営されているからです。自営業者や学生なら、国民年金の保険料を払います。会社員なら厚生年金の保険料、公務員なら共済年金の保険料を払います。つまり、保険料を払ったことによる対価が障害年金になるからです。

 

では、このように考えてみてください。自動車保険に加入して、ある日、交通事故を起こしました。加入者は、保険会社に対して保険金の支払いを請求します。これは万が一のときのための保険制度です。

 

制度自体は、どちらも保険制度です。ただ、運営を国がしているのか民間企業がしているのかの違いだけです。 障害年金を受けられることにためらいがある方もおられますが、障害年金はあくまでも保険料を支払ったことによる対価であり、万が一病気やケガをしたときのための保険なのです。

 

では、以上のことをふまえて、別の問題について考えてみましょう。「障害年金を受けると、働く意欲がなくなるから診断書は書きません」とおっしゃった医師がいたとしましょう。これについての私の答えは、当然ながら×になります。先ほども申し上げたように、障害年金は、払った保険料の対価だからです。その対価を受ける権利を、医師が奪うことはできないと考えるからです。それでも医師が診断書を書いてくれず、患者への理解が足りないと感じたら、転院を考えるか、われわれのような社会保険労務士に相談することも検討されてみてはいかがでしょうか。 ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

私も井坂氏の書かれていることと同じ考えです。患者が障害年金を申請する権利を、医師が奪うことはできないと思います。この場合、転院を考えるのも良いと思いますが、地方では通院が可能な精神科が選べるほどあるとは限りませんし、転院しても、医師との相性の問題がありますし、転院先の医師が診断書を必ず書いてくれるという保証はありません。

 

医師に根気強く説明するのが一番だと思います。大きな病院なら、ソーシャルワーカーがいれば相談してみるのも良いかもしれません。社会保険労務士に相談するのもありかと思いますが、私自身社会保険労務士のお世話になった経験がありませんので、何とも言えません。 ちなみに医師は患者から診断書の作成を求められたら、医師法十九条により、書かなければなりません。

 

しかし、障害年金を申請する際の診断書作成料は、私の場合は2枚必要で16.800円(1枚8.400円×2枚)掛かりました。お金も掛かりますし、障害年金の診断書は、医師は患者の日常生活や労働能力についてヒアリングし、患者は根気強く医師に説明する必要があり、単に医師に頼めば解決するとは思えませんので、無理矢理お願いして書いてもらうものではないと思います。 その他に障害年金の申請にあたり、お伝えしておきたいことです

 

他人の話をあてにしてはいけません

これから年金の請求をしようとお考えの方。インターネットやあらゆるところから様々な情報を仕入れ、年金申請の準備もしくは下調べを進めていると思います。 「うつ病では、障害年金はもらえない」 「働いていたらもらえない」等々 何が本当で何が嘘か分からないという方、また、年金事務所や社労士事務所等に聞いては違う事を言われたなんて方もたくさんいると思います。同じ「病名」でも、これまでの「経過」「障害の程度」「医師との関係」次第で年金がもらえるかどうかが変わってきます。

 

上の例で言えば、私はうつ病ですし、申請時は働いていました。それでも、3級の給付を受けることができました。人それぞれ、状況は全く異なるのであり、何が不支給の理由となるのかは全然違います。こうした情報に惑わされず、正しく手続きを進めていく事が非常に重要な事なのです。

手続きを全て人任せにしない

ここまでお読みいただいた方は大体分かると思いますが、障害年金の請求は、年金事務所やケースワーカー、たとえ医師の発言であっても鵜呑みにするのは危険です。社会保険労務士も同様です。体調が悪くてそれどころではないという場合もあると思いますが、医師に丸投げ、社労士に丸投げではなく、自らも積極的に関わることが必要だと思います。

 

私はハローワークの精神保健福祉士さんに助言をいただきながら自分で申請をしましたが、障害年金の申請にはかなりのエネルギーが必要です。困ったときは、病院などの精神保健福祉士やソーシャルワーカーに相談しましょう。 最近はあまり目にしませんが、うつ病患者を対象に障害年金2級を受給することを目指したマニュアルが複数のウェブサイトで販売されています。2級に認定されやすくなるような診断書を主治医に書いてもらうための方法が書かれているようですが、個人的には攻略本のようで好ましくないと思います。

 

患者が障害年金を受けられると生活が安定します。お金の根本的な心配がなければ治療にも専念できます。私はお金がないから、生活費を稼がないといけないと、働けない状態でもムリして働き、体調を崩してさらに病状を悪化させました。そんなとき、障害厚生年金の給付決定の通知が届き、それから治療に専念し、うつは順調に回復しました。そして何より自殺しないですんだのです。働けなくて生活費に困っている、そんな人が障害年金で救われることを願っています。

 

【注意】

障害年金制度については、正しい情報を書いたつもりですが、ここに書かれていることを完全に鵜呑みにしないで、それぞれの窓口できちんと詳細を確認していただくようお願いします。もし、間違った記載がありましたら、ご指摘ください。また、障害年金申請における医師の対応などについては、一部引用はしていますが、あくまで私個人の意見であることをご了承ください。

うつ病と障害年金の具体的な心得は、多くの人に知っていただくべき大切な内容だと思います。寄稿にご了承いただきました橋本さん(仮名)に感謝申し上げます。

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